循環器科

当院の循環器科の特徴

心臓病は、犬・猫にとって不可逆的な進行性の病気であることが多く、飼い主様にとっては「治るのだろうか」「あとどれくらい一緒にいられるのだろうか」という深い不安と向き合わなければならない診療領域です。

ホームドクターとして診療に幅広く対応

当院では、循環器科を動物の一生涯に関わるホームドクターとして特に重要な診療のひとつと位置づけ、日常的な咳のご相談から、心臓病の診断、そして長期にわたる管理まで、飼い主様に寄り添いながら診療にあたっています。

専門的な検査を組み合わせ、心臓の状態を正確に評価

心臓病は、初期には咳や少し疲れやすいといった軽微な症状しか見られないことが多く、飼い主様が気づいたときにはすでに進行しているケースも少なくありません。当院では、聴診や問診だけで判断せず、心エコー(超音波検査)やレントゲン、心電図といった専門的な検査を組み合わせることで、心臓の状態を正確に評価することを大切にしています。

二次診療に近いレベルの検査・治療にもつなげられる体制

当院に在籍する獣医師はそれぞれ得意分野を持ち、循環器領域についても学会参加や院内セミナーを通じて継続的に知識を深めており、当院内での対応が難しい症例、特に外科的な心臓手術が必要なケースについては、大学病院や循環器の専門医・認定医とすぐに連携できる体制を構築し、二次診療に近いレベルの検査・治療にもつなげられるようにしています。

インフォームドコンセントを徹底

治療方針を決める際には、インフォームドコンセントを徹底し、飼い主様のご理解度に合わせた言葉で、心臓の状態や今後の見通し、治療の選択肢を丁寧にご説明します。内科的な投薬管理を選ぶか、手術という選択肢を検討するかは、病院が一方的に決めるものではなく、飼い主様が主体的にご判断いただけるよう、それぞれのメリット・デメリット、費用の目安も含めてお伝えしています。

スピード感を持って検査・診断を行います

心臓病は、症状が進行する前の早期発見・早期対応が、その後の生活の質(QOL)を大きく左右します。当院では、飼い主様の不安を長引かせないよう、年中無休の診療体制のもとスピード感を持って検査・診断を行い、「病院都合で先送りにしない」対応を徹底しています。「最近咳をするようになった」「散歩ですぐ疲れるようになった」といった些細な変化でも、どうぞ遠慮なくご相談ください。当院は、飼い主様とペットのすぐそばで、心臓の健康を長く見守り続ける存在でありたいと考えています。

  • 夜間や早朝に咳をすることが増えた
  • 「カッカッ」と喉に何かが詰まったような乾いた咳をする
  • 散歩の途中で立ち止まる、疲れやすくなった
  • 呼吸が速い、安静にしているのに呼吸数が多い
  • 呼吸が苦しそう、ゼーゼーという音がする
  • 口を開けて呼吸をしている(猫の場合は特に注意が必要です)
  • 舌や歯茎の色が紫っぽく見える
  • 運動を嫌がるようになった、遊ばなくなった
  • お腹が張っている気がする
  • 失神するような様子が見られたことがある
  • 後ろ足を突然引きずる、後ろ足が冷たい、激しく鳴いて動けなくなった(猫で特に注意が必要な症状です)
  • 体重が減ってきた、食欲が落ちてきた
  • 健康診断で心雑音を指摘されたことがある
  • 咳と同時に元気がなくなってきた

心臓病の症状は、初期にはごくわずかな変化しか見られないことが多く、「年のせいかな」「少し疲れやすいだけかな」と見過ごされてしまうことが少なくありません。特に、夜間や早朝の乾いた咳は、心臓が拡大して気管を圧迫していることによるサインである可能性があり、症状が進行すると呼吸困難を伴う湿った咳へと変化することがあります。

また、猫の場合は症状を隠す傾向が強く、飼い主様が異変に気づいたときにはすでに深刻な状態になっていることも珍しくありません。特に、猫が突然後ろ足を痛がり動けなくなる症状は、心臓由来の緊急事態である可能性があり、一刻を争う対応が必要です。当院では年中無休で診療を行っておりますので、些細な変化でも気になった際は、早めにご相談ください。可能であれば、症状が出ているときの様子を動画に撮影しておいていただくと、診断の大きな手がかりになります。

診療時間/9:00~12:00、16:00~19:00、20:00~22:00

当院の循環器科で実施している検査

問診・視診

症状の経過、心雑音や呼吸音の確認

心臓超音波検査

心エコー、心臓の動きや弁の状態、心筋の厚さなどをリアルタイムで観察

胸部レントゲン検査

心臓の大きさや肺の状態、肺水腫の有無を画像で確認

心電図検査

不整脈の有無や心臓の電気的活動を評価

血圧測定

高血圧が心臓に与える負担の評価

血液検査

心臓への負担を示す指標や、全身状態の評価

安静時の呼吸数測定

自宅でも実施可能な簡易的な指標のご案内

CT検査

心臓・大血管の形態評価や、周辺組織との関係の精密な確認

循環器の検査で重要なのは、「咳」や「疲れやすさ」といった同じような症状であっても、その原因が心臓のどの部分にあるのか、どの程度進行しているのかを正確に把握することです。

当院では、まず問診と聴診でおおよその見立てを立てたうえで、心エコーやレントゲンなど必要な検査を段階的にご提案し、その検査で何がわかるのか、なぜ必要なのかを費用の目安とあわせて丁寧にご説明してから実施いたします。

心エコー検査では、弁からの血液の逆流の程度や、心臓の壁の厚さ、部屋の大きさなどをミリ単位で評価することができ、病気の進行度を客観的に判断する重要な材料となります。

また、血液検査で得られる心臓への負担を示す指標は、レントゲンやエコーだけでは判断に迷う初期の異常や、呼吸困難の原因が心臓にあるのか、それ以外にあるのかを見極める際にも役立ちます。

検査の結果、外科的な心臓手術など、当院での対応が難しいと判断した場合には、大学病院や循環器の専門医・認定医へ速やかにご紹介し、紹介後のアフターケアについても当院が責任を持って継続して担当いたします。

犬で多い循環器科の病気

僧帽弁閉鎖不全症

小型犬に多い、心臓の弁の機能低下による進行性の病気

拡張型心筋症

心臓の筋肉が薄く伸び、ポンプ機能が低下する病気

動脈管開存症

生まれつきの血管の異常による先天性の心疾患

肺水腫

心臓の機能低下により肺に水が溜まる状態

不整脈

心臓の拍動リズムの異常

フィラリア症

蚊を媒介とする寄生虫感染による心肺への負担

心膜液貯留

心臓の周囲に液体が溜まり、心臓の動きを圧迫する状態

僧帽弁閉鎖不全症

犬の循環器疾患の中でも特に多いのが、小型犬の中高齢期に多く見られる僧帽弁閉鎖不全症です。この病気は、心臓の弁がうまく閉じなくなることで血液が逆流し、徐々に心臓が拡大していく進行性の病気です。初期は無症状のことも多いのですが、健康診断で心雑音を指摘された段階から、定期的な心エコー検査によって進行度を把握しておくことが、その後の生活の質を大きく左右します。無症状であっても心臓の拡大が確認された段階から、治療を開始することが望ましいとされるケースもあり、早期発見・早期対応の重要性は非常に高い病気です。病状が進行すると、肺に水が溜まる肺水腫という緊急性の高い状態に至ることもあるため、咳の変化には特に注意が必要です。

フィラリア症

フィラリア症については、適切な予防を続けていただくことで発症を防ぐことができる病気ですので、日頃からの予防対策もあわせて大切にしていただきたいポイントです。

猫で多い循環器科の病気

肥大型心筋症

心臓の筋肉が厚くなり、ポンプ機能が低下する猫に特有の病気

拘束型心筋症

心臓の筋肉が硬くなり、うまく広がらなくなる病気

大動脈血栓塞栓症

心臓内でできた血栓が血管に詰まる、緊急性の高い合併症

肺水腫

心臓の機能低下により肺に水が溜まる状態

胸水貯留

胸の中に液体が溜まり、呼吸を圧迫する状態

不整脈

心臓の拍動リズムの異常

先天性心疾患

生まれつきの心臓の構造的な異常

肥大型心筋症

猫の心臓病で特に多いのが肥大型心筋症です。猫は症状を隠す習性が非常に強く、飼い主様が異変に気づいたときにはすでに病状が進行していることが少なくありません。特に注意していただきたいのが、安静にしているときの呼吸数です。1分間に40回を超えるような速い呼吸が続く場合や、口を開けて呼吸をしている様子が見られる場合は、心臓に大きな負担がかかっているサインである可能性があります。

大動脈血栓塞栓症

また、猫の心筋症に特有の恐ろしい合併症として、大動脈血栓塞栓症があります。これは、心臓の中でできた血栓が血管に詰まることで、突然後ろ足が動かなくなり、激しい痛みのために鳴き続けるという症状を引き起こします。この症状は「怪我をした」「腰を痛めた」と誤解されやすいのですが、実際には心臓由来の緊急事態であり、一刻を争う対応が必要です。「後ろ足が冷たい」「肉球の色がいつもと違う」といった様子が見られた場合は、すぐにご連絡ください。

当院では、猫が動物病院という環境でストレスを感じやすいことを踏まえ、できる限り負担の少ない検査・診察を心がけています。

当院での循環器科診療実績

当院では、年中無休の診療体制のもと、健康診断での心雑音の指摘をきっかけとした精密検査から、咳や疲れやすさといった日常的なご相談、さらには呼吸困難や血栓塞栓症といった緊急性の高い症例まで、幅広い循環器科診療にあたってきた実績がございます。
特に、心臓病は診断後も長期にわたる経過観察と投薬管理が必要となることが多く、飼い主様と長くお付き合いしながら、病状の変化に応じて治療内容を調整してきました。

薬

当院は一次診療の動物病院ではありますが、心エコーや心電図をはじめとする専門的な検査機器を活用し、二次診療に近いレベルでの診断・内科的管理が可能な体制を整えています。そのうえで、外科的な心臓手術など、当院での対応が難しいと判断した症例については、大学病院や循環器の専門医・認定医へ速やかにご紹介する連携体制を構築しています。
他院で「咳が止まらない」「手術を勧められたが迷っている」といったお悩みを抱えて来院される飼い主様のセカンドオピニオンにも、現在の主治医の先生を尊重しながら積極的に対応しております。

超音波検査

紹介後についても、当院が窓口となって経過を把握し、日常的な投薬管理や生活面でのアドバイス、アフターケアについて責任を持って継続して担当いたします。
心臓病は「病気になったことは変えられなくても、向き合い方は変えられる」ものだと当院は考えており、飼い主様が一人で悩みを抱え込まないよう、長期的な視点で伴走してまいります。

当院での循環器科における治療法

当院の循環器科治療は、検査によって得られた客観的なデータと、飼い主様からお伺いした日頃の様子とを総合的に判断し、根拠に基づいた治療方針をご提案することを基本としています。
心臓病の多くは、進行度に応じた内科的な投薬管理が治療の中心となり、心臓への負担を軽減し、症状の進行を緩やかにすることを目標とします。無症状の段階から治療を開始することが望ましいと判断されるケースもあるため、健康診断などで心雑音が見つかった際は、早めの精密検査をおすすめしています。

薬

病状が進行し、内科的な管理だけでは対応が難しいと判断される場合には、外科的な心臓手術という選択肢についても丁寧にご説明します。手術を行うかどうかは、ペットの年齢や全身状態、飼い主様のご意向を踏まえながら、専門医療機関とも連携してじっくりとご相談いただけます。
また、食事内容の見直し(塩分やナトリウムへの配慮など)や、日常生活での運動量の調整といった、投薬以外のケアについてもあわせてご案内し、総合的に心臓への負担を減らす管理を行っています。

手術

心臓病は生涯にわたる管理が必要になることが多い病気だからこそ、当院では「どこまでの治療を望むか」を飼い主様と一緒に考え、ご納得いただいたうえで治療を進めていくことを大切にしています。
当院だけで対応が難しい症例については、大学病院や循環器の専門医・認定医と連携し、紹介後も継続してアフターケアに関わることで、飼い主様が安心して治療を続けられるよう伴走してまいります。

当院での循環器科治療の流れ

ご予約・お問い合わせ

お電話またはLINE予約より、咳や疲れやすさなど気になる症状をお伝えください。呼吸困難や後ろ足の異常など緊急性が疑われる場合は、その旨をお申し付けいただければ優先的にご案内いたします。可能であれば、症状が出ているときの動画をご準備いただくとスムーズです。

電話で予約
問診

症状に気づいた時期、咳の様子、運動時の変化などを詳しくお伺いします。健康診断で心雑音を指摘されたことがある場合は、その際の情報もあわせてお聞かせください。

問診票
聴診・身体検査

心音や呼吸音、全身の状態を確認し、この時点で考えられる原因や、必要な検査についてご説明します。

診察風景
各種検査の実施

心エコー、レントゲン、心電図、血液検査など、症状に応じた検査を行います。検査の目的や所要時間、費用の目安についても事前にお伝えします。

レントゲン検査
検査結果のご説明と治療方針のご相談

検査結果をもとに、心臓の状態や今後の見通しを、専門用語をできるだけ避けながら丁寧にご説明します。内科的な管理と外科的な治療、それぞれの選択肢がある場合は、メリット・デメリットや費用の目安も含めてお伝えし、どこまでの治療を希望されるかを一緒に検討します。

治療の開始

ご納得いただいた治療方針に基づき、投薬管理や生活面でのアドバイスを開始します。

定期検診・経過観察

心臓病は進行性の病気であることが多いため、定期的な検査により病状の変化を確認しながら、治療内容を適宜調整していきます。

必要に応じた専門施設との連携

外科的な心臓手術など、より高度な対応が必要と判断した場合には、大学病院や専門医をご紹介し、その後のアフターケアも当院が継続して担当します。

心臓病は進行に気づきにくい病気だからこそ、当院ではこの一連の流れを「病院都合で先送りにしない」スピード感で進めることを大切にしており、検査結果はできる限り早くご説明し、治療の途中で疑問や不安を感じた際にはいつでもご相談いただける体制を整えています。

  • 日頃から咳の有無や呼吸の様子、散歩での疲れやすさを観察しておくこと
  • 安静にしているときの呼吸数を、時々測って記録しておくこと
  • 「年のせい」「そのうち治るだろう」と自己判断せず、些細な変化でも早めに相談すること
  • 健康診断で心雑音を指摘された場合は、無症状であっても精密検査を検討すること
  • 猫は症状を隠しやすいため、呼吸数や開口呼吸など、より注意深く観察すること
  • 気になる症状が出た際は、できるだけ動画に撮影しておくこと
  • 小型犬の中高齢期以降は、定期的な心臓のチェックを健康診断に組み込むこと
  • かかりつけの動物病院を決めておき、心臓の状態の経過を継続的に共有できる関係を築いておくこと

症状が出る前からの健康診断が大切

心臓病は進行性の病気であることが多く、症状が出てから対応するのでは、すでに病状が進んでしまっていることも少なくありません。特に、無症状の段階から心臓の拡大が始まっていることもあるため、健康診断での聴診や心エコー検査によって、症状が出る前の段階から心臓の状態を把握しておくことが、早期発見にとって何より重要です。特に小型犬の中高齢期以降や、猫の中高齢期は、心臓病のリスクが高まる時期ですので、定期的なチェックをおすすめしています。

飼い主様によるご自宅での観察・記録も大切

また、早期発見のためには、動物病院での検査だけでなく、ご自宅での日々の観察も欠かせません。「最近、散歩ですぐ疲れるようになった」「安静時の呼吸が速い気がする」といった些細な気づきが、重大な心臓病の発見につながることは珍しくありません。当院では、そうした飼い主様の気づきを診断の重要な手がかりとして真摯に受け止め、必要な検査へとつなげています。年中無休の診療体制を整えているのも、「気になったときにすぐ相談できる」環境を提供したいという思いからです。心臓の健康は、命に直結する大切な要素だからこそ、些細なことでも構いませんので、早めにご相談ください。

循環器科におけるQ&A

Q.健康診断で心雑音を指摘されましたが、無症状なので様子を見てもよいでしょうか?

A.無症状であっても、心臓がすでに拡大し始めていることがあります。早い段階から治療を開始することで、その後の生活の質や経過が大きく変わる可能性がありますので、一度心エコー検査による精密な評価を受けていただくことをおすすめしています。

Q.心臓病と診断されましたが、手術は必ず必要ですか?

A.手術が必須というわけではありません。多くの場合、まずは投薬による内科的な管理から始め、病状の進行度や全身状態、飼い主様のご意向を踏まえたうえで、外科的治療の必要性を検討します。手術を行う場合には、専門医療機関と連携してご案内いたしますので、まずは現在の状態を正確に把握することから始めましょう。

Q.心臓病の子には、どのような食事管理が必要ですか?

A.病状によって配慮すべき点は異なりますが、一般的には塩分を控えめにすることが推奨される場合があります。詳しい食事内容については、検査結果や病状の進行度を踏まえたうえで、個別にご案内しています。

Q.他院で心臓病の治療を受けていますが、セカンドオピニオンとして相談できますか?

A.もちろん可能です。セカンドオピニオンは、現在の主治医の先生を否定するものではなく、多角的な視点を持つことで治療への納得感を深めるための前向きな選択肢です。可能であれば、これまでの検査結果や服用中のお薬、日常の咳の様子がわかる動画などをご持参いただけますと、よりスムーズにご相談を進められます。

Q.通院の頻度はどれくらい必要ですか?

A.病状の進行度によって異なります。診断直後や治療内容を調整している時期は、数週間から1か月おきの通院をおすすめすることが多いですが、状態が安定してくれば間隔を空けて経過観察を行うこともできます。飼い主様の生活スタイルも踏まえながら、無理なく続けられる通院ペースを一緒に考えます。

Q.当院で対応できない場合はどうなりますか?

A.外科的な心臓手術など、当院での対応が難しいと判断した場合は、大学病院や循環器の専門医・認定医をご紹介いたします。ご紹介後も、日常的な投薬管理やアフターケアについては当院が継続して担当いたしますので、「紹介されたら終わり」ということはございません。安心して当院にご相談ください。